GALAPAGOS旅行記 ─ ロンサムジョージは なぜロンサム(ひとりぼっち)になったか?

ガラパゴス行きの一番の目的は、「ロンサムジョージ」に会うことだ。
ロンサム(ひとりぼっち)ジョージとは、ピンタ島でたった1頭だけになってしまったゾウガメで、1972年に保護されて以来ダーウィン研究所で飼育されている。

 ガラパゴスゾウガメは、島毎に甲羅の形が違う。
緑の多い島のゾウガメは、甲羅の襟の部分がドーム型になっており、緑の少ない島のゾウガメはサボテンを食べるために首を伸ばさなければならず、襟の部分が大きくめくれて鞍型になっている。

 ジョージも典型的な「鞍型タイプ」だ。
一方、食われる側のサボテンだって、黙って食われてはいない。
ちゃんとゾウガメ対策として、ゾウガメが棲んでいない島のサボテンは低木のままだが、ゾウガメの棲んでいる島のサボテンは高木になっている。

だからますますゾウガメは首を伸ばさなければならなくなって襟がめくれ、鞍型になったというわけだ。
無論、今現在も少しづつ(あるいは突然変異として急激に?)その進化は続いているわけで、だからこそガラパゴスは「進化」の途中を目撃できる場所なのだ。

 現在ガラパゴスゾウガメは、その甲羅の形から14種類に分類されているが、内ラビダ島、サンタ・フェ島、フロレアナ島が1830年代に絶滅。
そして、ピンタ島のゾウガメもジョージだけだから、野生体としては絶滅している。

絶滅の原因は人間だ。
1535年、ガラパゴスに上陸した人間は、新鮮な肉と水を求めて(ゾウガメは膀胱と心嚢に水分貯蔵タンクがある)「生きた水筒とお弁当箱」であるゾウガメを殺した。

 それから150年間、この界隈は海賊たちの隠れ家となった。

絶滅の原因は人間だ。
1535年、ガラパゴスに上陸した人間は、新鮮な肉と水を求めて(ゾウガメは膀胱と心嚢に水分貯蔵タンクがある)「生きた水筒とお弁当箱」であるゾウガメを殺した。

 その後、マッコウクジラの良い漁場でもあったために、1850年頃には最大735隻もの捕鯨船団の基地となる。

 何しろゾウガメは、甲板に放置したまま水も食料も与えなくても何ヶ月も生きているため、いつでも新鮮な肉が手に入るという、極めて手間のかからない保存食にもなったのだ。
船員たちは、20~30㎏前後の若い個体やメスを好んで捕獲した。
それは担ぎやすいという理由からだったが、この偏った捕獲がゾウガメの個体分布を攪乱し、繁殖や成長に影響を与え、絶滅に拍車をかける。

1830年にはフロレアナ島に人間が定着し、本格的にゾウガメを捕獲して商売にするようになる。(1835年、ダーウィンもこのゾウガメ捕獲基地に滞在している。)
やがて人々は、フロレアナ島からサンタクルス島、サンチャゴ島へと渡り、乱獲を続けた。

 更に、定着した人間たちは家畜を放した。
哺乳類といえばアシカとオットセイしかいなかった島にブタ、ウシ、ロバ、イヌ、ネコ・・・そしてクマネズミが上陸した。

 土の中に浅く産み落とされているゾウガメの卵を、ブタや犬が掘り出して食べる。

 道のない島で、何千年もかけてゾウガメが作った「けもの道(カメ道)」は移動がしやすい、そのためにロバやウシがその道を使うことになり、結果、ゾウガメの卵は踏みつけられ破壊される。

孵化したばかりの子ガメは、クマネズミが請け負った。

 最大の敵はヤギだった・・・直接ゾウガメを襲うことはないものの、連中はゾウガメのエサである植物を片っ端から食い、島全体を丸裸にしてしまった。

どの島でも、ヤギの頭骨が目に付く→

こうしてついに、ピンタ島のゾウガメもジョージただ1頭だけになってしまったのだ。

あわせて読みたい